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 碧巌録へきがんろく
十巻 正蔵48、続蔵2-22
詳しくは、「仏果円悟禅師碧巌録」、もしくは「碧巌集」。すでに本文の解説に記したように、そのテキストは大徳四年(1300)の刊本一種。中国・日本を通してこれほどくりかえし重刻されながら、異本のないものも珍しい。わが五山の学僧たちは、福本、蜀本(川本)の存在を知っていたらしいが、その全部ではないようである。この間にあってわが道元が帰朝に際して一夜に写したと伝える大乗寺の伝本は、刊本以前のものとして最も貴重である。昭和十七年、鈴木大拙が校印した『仏果碧巌破関撃節』二巻は、その「仏果碧巌破関撃節の刊行に際して」の発表とともに、本格的な本文研究の最初である。この本の本文は、「四部叢刊」に収める『雪竇顕和尚明覚大師頌古集』に一致して流布本と異なる。伊藤猷典の『碧巌集定本』(昭和三十八年、理想社刊)は、新しい本文研究の一つの試みであって、いまだそのすべてでない。この名著の書誌的検討は、大慧が一炬に付したとき以来、まだほとんど進んでいないらしい。なお、本書のヨーロッパの言語に訳されたものは、次のごとし。
  • R. D. M. Shaw, The Blue Cliff Records. London : Michael Joseph, 1961.
  • W. Gundert: Das Zweite Kapitel des Bi-yän lu. Carl Hanser Verlag, München 1964.
(禅籍解題 185) 


 Last Update: 2002/11/01