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禅宗史研究室

達摩碑文およびその関連資料について (沖本 克己)




 〔資料11〕 『宝林伝』

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 『宝林伝』は『景徳伝灯録』巻第二、第二十四祖師子比丘章、巻第三、第二十八祖菩提達磨章に「事具聖胄集及宝林伝」と細注が施されているのを始めとして、『祖庭事苑』にも引用がある。しかしその後消息を絶ち、長らくその所在が分からなかった。

 近年に至って、常磐大定が青蓮院に巻六を発見し、続いてシナ山西省趙城縣廣勝寺において見い出された『金版大蔵経』に巻一から巻五、および巻八が含まれていることが明らかとなった。さらに椎名宏雄氏によっていくつかの佚文が発見されているが、その全貌はなお明らかではない。詳しくは田中良昭『宝林伝訳注』(2003)を参照されたい。

 注目すべきは戸崎哲彦「『宝林伝』の序者霊徹と詩僧霊徹」(仏教史学研究第三〇巻、1987)で、ここでは綿密な考証により序者・霊徹の行実をたどり、『宝林伝』の出現時期は従来貞元十七年(801)とするのが定説であったが、なお流動的要素をはらむことが明らかにされている。

 ここではそのことに深入りすることは避けて、達摩碑文の一資料として原文を掲げるに留めることとする。語句の異同やその歴史的意味等についても全て今後の課題である。




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 Last Update: 2003/08/07