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五山文学研究室

五山文学全集 収録語録解題及び著者略伝





 濟北集(虎關師錬)
二十巻 『五山文学全集 第一巻』所収

聖一派。虎關師錬(1278〜1346)。本覺國師。
山城三聖寺の東山湛照に嗣ぐ。京都の人。俗姓は藤原氏。弘安元年(1278)生。

東山湛照の室に入り僧童となる。東山湛照・桃溪徳悟・規庵祖圓・無隱圓範・藏山順空・無爲昭元・約翁徳儉に参ず。一山一寧に通参し、日本の事に無智なのを叱責され、日本最初の僧伝にして仏教史を兼ねた『元亨釋書』を撰述。

京都河東の歓喜光寺・洛北白河の濟北庵・伊勢の本覺寺・鎌倉の圓通寺・山城の三聖寺・東福寺・南禪寺に住す。東福寺の海藏院に退閑し、貞和二年(1346)七月二十三日示寂。学芸上の師は一山一寧。菅原在輔・六條有房等より、公家の古註を習う。

著述に『楞伽經』の箋釈『佛語心論』(1296)、韻書『聚分韻略』(1307)、和漢対照年表『和漢編年干支合圖』(1315)、一山一寧の行状『一山國師行記』(1321)、山叟慧雲の行状『佛智禪師行状』(1324)、『聖一國師語録』(1331)、住山法語を仮名で説明した『紙衣謄』、四六文の作法を説いた『禪儀外文集』(1342)、語録『十禪支録』(1335)・『續十禪支録』、龜山天皇の伝『文應皇帝外記』(1339)、『正修論』(1343)等がある。本集はその詩文集である。

『濟北集』は、玉村竹二『五山文學』によれば、五山版が存在するが、所在は不明。室町写本が成簣堂文庫(20巻5冊)・靜嘉堂文庫(2冊)等に蔵される。慶安3年(1650)刊本(中野是誰)が、国立国会図書館鶚軒文庫・内閣文庫・靜嘉堂文庫・大谷大学・京都大学・駒澤大学等に蔵され、他に、貞享元年(1684)刊本(伏見藤五郎‐慶安本後刷)がある。


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 Last Update: 2003/03/28