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 胡適校敦煌唐写本神会和尚遺集、附胡先生晩年的研究
一巻

 民国57年(1968)、中央研究院胡適紀念館刊。民国19年版の『神会和尚遺集』のすべてを影印し、さらにその後の研究と原資料を増補したもの。はじめに、新印「神会和尚遺集」引言(中華民国57年12月8日毛子水謹記)があり、後半に新たに次の二篇を加える。

  • 新校定的敦煌写本神会和尚遺著両種
  • 神会和尚語録的第三個敦煌写本、『南陽和尚問答雑徴義 劉澄集』

 前者は、中央研究院の「歴史語言研究所集刊」二十九本『慶祝趙元任先生六十五歳論文集』(1958)に発表されたもので、ペリオ2045による『南陽和上頓教解脱禅門直了性壇語』の全文と、『菩提達摩南宗定是非論』の一部であり、先の『神会和尚遺集』の第二残巻および第三残巻と合せて、その全文を復元せんとするもの。さらに同じ写本に含まれる『南宗定邪正五更転』の全文を校合してこれに付録し、別にこれら二つの資料の考証と、神会の生没年を考証した新しい論文、および「総計三十多年来陸続出現的神会遺著」の一章を添えて、先著以来の神会研究史を総括する。特に、鈴木大拙の『敦煌出土神会録』(昭和7年、石井光雄刊)、および『少室逸書』の「和上頓教解脱禅門直了性壇語」との校合を将来に期待しつつ、矢吹慶輝の『鳴沙余韻』七十八に収める「頓悟無生般若頌」(スタイン296)が、先著に付せられたそれの前半であることを論及して、新たにその全文を付録する。

 また、後者は、同じく中央研究院「歴史語言研究所集刊」外編第四種『慶祝董作賓先生六十五歳論文集』上冊(1960)に発表されたもので、新たに日本で入矢義高が発見したスタイン6557が、先の『神会和尚遺集』第一残巻および鈴木大拙の『燉煌出土神会録』に対して第三個の資料であることを認めて、その全文を校訂し、そこに付せられている劉澄の序と「南陽和尚問答雑徴義」という標題を手がかりに、三種の資料の前後関係について独自の意見を主張するもの。また、先の研究に付せられた「五更転」についても、新たにスタイン6103、2679、6038、6923、4634、鹹18、露6などによって再検討を加え、すべての本文校訂を試みたるもの。特に、校写「五更転」後記を附して、許国霖の『敦煌雑録』に収める周70や、劉復の『敦煌掇瑣』をはじめ、スタイン5529の断片やスタイン2454、6077、ペリオ2483を合せて「五更転」の起源を論ずる。神会に帰せられる『南宗定是非五更転』の発見を期として、仏教関係歌曲の全貌が、晩年の胡適の関心を惹いていたことを示すものである。 (禅籍解題 30)




 Last Update: 2002/11/01