さし藻草 卷之一 [ 3 / 29 ]
前頁 次頁
父母たらんず君子は、最初第一に 仁政を專らにし、賦税を輕し、 課役を寛め、窮民を助け 救ひ、國家を安撫し、第一、酷 吏の輩らを忌み棄て玉ふ事を 勸め奉るを以て至要とす。然るに 此に一人の仁君おわして、如 《三丁オ》 何斗り仁政を施こし、萬民を 利濟被成度き大望おわすと 云へ共、若夫多病短壽ならばか、 中々叶ひ難き事に侍り。去る程に 第一には仁政、第二には養生を 御勸め可申事に侍り。去りながら、 暗君庸主の類ぐひ有つて、 《三丁ウ》
次頁