さし藻草 卷之一 [ 4 / 29 ]

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内觀と養生と共に並わせ雙べ
貯へて、彭祖が八百の壽算を
たもち、浦嶋が五百の歳時を
かさね玉ひたり共、徒に仁恕の
御徳行もなく、日々に奢を窮め、
多く婢嬪の妖色を貯わへ、
歛[斂]臣酷吏の盜臣を愛し
      《四丁オ》
貴び用ひ、聚歛[斂]酷、萬民を
貪り掠め、國家をせめ苦るしめ、
左ながら虎狼の山岳に靠り
威獰を長じ、長壽を保ちて、
生命を殘害するに異なる
事なく、果しも無き大惡業を
作り重ねて、死後には必らず
      《四丁ウ》


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