さし藻草 卷之一 [ 5 / 29 ]

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無間燒熱の難所に墮して、
無量劫數の苦患を受く。
然ば即ち長壽を保て、限りも
無き罪障を積み重ねんより、
如かじ、一日も早く根の國、底の國え
歸つて、少し成り共、罪障の輕ろ
からんが益し成るべし。是故に仁恕兼
      《五丁オ》
備わらせ玉ふ國君は、仁政を第
一とせさせ玉ふ習らひに侍り。然るに
此度、殿下え進覽致候法語には、
養生を先きにし、仁政を第二に
書綴り申候。子細は先回久振
にて高慮を得、御樣體を窺ひ
申奉り候所、先年よりは格別
      《五丁ウ》


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