さし藻草 卷之一 [ 9 / 29 ]
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及ばせ玉わで、只今盛りの御身を
もたせ玉ひながら、御不養生故、
病身にならせ玉ふぞやなど、世
間の評判も苦ゝゝ敷き事に
侍れば、萬事を愼、萬縁を抛下し、
御養生一片に御成り可被成候。
寔に薄氷をふむより危き
《九丁オ》
御事に、乍陰氣遺[遣]敷く存じ
暮候。別而御不足の御病症には、
第一の禁物は若き女中衆杯、
御近所に被指置候 事、堅く御禁制
可被成候。左も無御座候而は、透と
御全快は斗りがたき者に被存候。
良藥は口に苦く、忠言は耳に
《九丁ウ》
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