さし藻草 卷之一 [ 10 / 29 ]

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逆ふと申す古る言も侍るからに、
少しは御心に障わり申す事も
侍るべけれ共、至極親切に存候故の
事と被思召、御免可被下候。此等の
趣きも直談に申演べ度、秋冬の
間には出府仕度存暮候へ共、種々
無據故障多く、本意に任かせず、殘
      《一〇丁オ》
慮至極に令存候。來春は是非々々
出府致し、御目に可懸候へ共、夫迄を
待ち兼ね、老眼を摩搓して、
終霄ら燈下に書き認め令
進覽候。老夫親切の程をも
御考へ被成、隨分御愼み御養生、本の
如くに御達者に御成り被成可被下候。
      《一〇丁ウ》


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