さし藻草 卷之一 [ 11 / 29 ]

前頁    次頁


千萬所希に御座候。唐書に云く、
唐の大[太]宗皇帝、功、天下を
蓋ふと云へ共、身危きに幾かし。
玄齡、如海に頼て策を
決す。二賢詳かに、民衰ろへ
國危きの大本を説く。此に
おいて即位の初め、勅して宮女
      《一一丁オ》
三千人盡く放逐し玉ふと。寔に
千歳の美談ならずや。又或る説に
曰く、唐の太宗興國元年、
帝、即位久しからずして、不慮に
難治の重症を發す。衆醫
眉をしわめ、力を盡すと云へ共、
百藥寸功なし。時に周南の
      《一一丁ウ》


次頁