さし藻草 卷之一 [ 15 / 29 ]

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五地、十地百地、數千地に到れ共、飽き
足る事無き者の如し。斯くては中々
長壽長命は保ち難かるべし。豈に是
君子の志ざしならんや。豈是仁人の
樂しみとする所ならんや。椒房の人々も
亦た宜敷心得是有るべき事なり。
天下國家の爲め、萬民豐饒富
      《一五丁オ》
樂の爲め、主君の御壽命長久
の爲めにぞならば、椒房は常に人
少なく物さびしきに越へたる事は
是有るべからず。近習の召し使ひも、
兩三人にして事足るべき事なり。
縱ひ兩三人と云へ共、心得有るべき事なり。
年の頃五十以上、隨分長低くて
      《一五丁ウ》


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