さし藻草 卷之一 [ 23 / 29 ]

前頁    次頁


足らんや。大ひに怪しむべしとならば、
大凡一切の人類、正了縁とて、
三因佛性の妙義を具足する
故なり。一者、凡有心者是正因
種、二には、隨聞一句是了因種、
三には、彈指散華是縁因
種。是を三因佛性と云ふ。大凡
      《二三丁オ》
尊貴高位より下賤貧窮
の細民及び牛羊狐兎狸狢の
畜類に至る迄に、正因佛性の
大事を具足せずと云ふ事なしと
云へ共、善友の提攜に隨ひ、眞
正の智識に見へて、一句半偈の
教戒を受け、乍ち大勇猛の
      《二三丁ウ》


次頁