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関連論文:『仙翁花 ―室町文化の余光― 』 |
【第8回】 包装して贈る
このように、『日録』では毎年七夕前をピークにして仙翁花の贈答が同じように記録されているので、以下は省略して特記すべき事項を中心に取り上げる。 ○文明十九年(1487)
「一包」という数え方は前にも出たが、花を何らかの方法で包装してあることを意味しよう。その包み方はどのようなものだったのか、興味をひかれるところである。包装についての記述は後にもまた出るので、そこで考える。 ○長享二年(1488)略。 ○長享三年(1489)
ここには単に「草花」とのみあるが、先回みたように、「仙翁花」は単に「花」とも呼ばれることもある。いまは七夕直前、仙翁花の季節であり、ここで主役となる「草花」は仙翁花であり、この花を中心にし、他の桔梗・菊などを含めて「草花」という。また、右の二例では、将軍府へ献上するには草花の状態があまりにもよくないことを記している。そして、その二級品は後藤土佐守に送り与えられている。献上品の点検と吟味が行われているのである。 ○延徳二年(1490)
仙翁花を中心に、これに白菊と桔梗の花を配して、何らかの方法で包装をして、御所に奉呈したのである。「調えしめ」「包ましむ」というから、一種の意図をもった装い、立花でもなく生け花でもないフラウワー・アレンジメントともいうべきことが行われたということであろう。 初出『季刊 禅文化 186号』(禅文化研究所、2002年)
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