2024年6月15日(土)、白隠フォーラムを7年ぶりの開催致しました。また、今回は「白隠さんの会」との連動企画となりました。
今回は「英一蝶と白隠」と題し、流刑が許され江戸に戻った英一蝶が寄寓したことで「一蝶寺」とも呼ばれる冝雲寺を会場とすることがかないました。白隠禅画における英一蝶の影響はどのようなものであったのか、白隠と芭蕉門下との関係など文化交流がどのようなものであったのか、往時の江戸に思いを馳せて頂くべき催しとなりました。
御登壇頂いた馬渕美帆先生(実践女子大学)は、白隠と英一蝶の複数の作品をあげながらその類似性を御指摘され、白隠が英一蝶の影響を受けた点を論じられました。また、白隠が英一蝶の作品に触れたのは宝暦9(1759)年の7月に深川臨川寺に滞在した際ではないかと推測されました。臨川寺滞在中に白隠と俳人達とに交流があり、白隠は俳人向けの画賛を制作したことも言及され、そうした交流の中で多くの一蝶画を白隠が目にしたのではないかと述べられました。
同じく御登壇された芳澤勝弘先生(弊所顧問)は、白隠墨蹟における英一蝶の影響を認めた上で、白隠の墨蹟には賛がついていることを御指摘されました。白隠の墨蹟は賛があることによって風俗画から禅画に昇華しているとして、多数の白隠禅画を提示しながらその絵解きを行い、絵と賛が一体となって白隠の教えが描かれていると説明されました。また、バンクシーの絵画と白隱の禅画を比較しその類似性と違いにも言及されました。
ふたつの御講演のあとは、冝雲寺所蔵の英一蝶の軸物を数点御披露頂くとともに、会場からも質問を募って質疑も重ねられました。6月とはいえ非常に暑さの厳しいなかではありましたが、御来場頂きました皆さまには心より御礼申し上げます。
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