科研費公開シンポジウム 「世界宗教会議と仏教のグローバル化をめぐる諸相」 登壇報告
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6月23日(日)10時~17時30分、龍谷大学大宮キャンパス西黌2階大会議室にて、科学研究費基盤研究(B)「禅からZenへ―世界宗教会議を通じた禅のグローバル化の宗教史・文化史的研究」に関連した公開シンポジウムが開催され、弊所副所長の飯島孝良が登壇しました(Zoom同時配信)。
飯島の論題は「鈴木大拙の公案論と「超智」――エラノス会議当時の問題意識と関連して」で、エラノス会議での大拙の講演がかなりの反響を得たと言われるなか、それは具体的にどのような点だったのかを問題点にしたものとなりました。その際、(1)当時の大拙がどのような問題意識を有していたのかを明らかにする必要があるため、とくに四十年代の大拙思想を象徴する「霊覚」(「霊性的日本的自覚」)に着目し、(2)「超智」をもたらす体験へ大拙が着目した背景として、エラノス会議講演(一九五四年)と「公案と念仏における心理的基礎」(一九二七年/一九三七年)の共通した問題意識を明らかにし、(3)エラノス会議が有していたと思われる問題意識と大拙の問題意識との共通点は何かをかんがえるため、第二次大戦後に西欧各国で隆起していった民族意識と宗教性(体験性)との相剋を求める動きとどう関連があり得たか、といった三点を論じました。
この発表以外にもは、禅に限らず、キリスト教やスーフィズムといった宗教史的な動向をも考慮に入れた多角的な議論がくりひろげられました。今後に論集となることも視野に展開していくとのことです。主宰された守屋友江先生(南山大学)をはじめ、御参加の皆さまには多大なる御力添えを賜りましたことを御礼申し上げます。
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