「巻之上」とは連続しない、別個の内容である。
宝暦2年(1752)の正月二十五日、禅師六十七歳の時に書かれ、伊予大洲藩の江戸詰家老である加藤内藏之輔成章に与えられた法語。藩主を輔佐してまつりごとを行う立場にある武士に対して、「死字」の工夫、また「隻手の公案」に参ずることを勧め、勇猛精進の気概で取り組むべきことを説く。
後半部分では、悟ってもいない邪師が禅を安売りして、安易に後継者を作り出していると、同時代の禅界の現状を激しく批判し、憂えている。