花園大学国際禅学研究所
   
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仮名法語(芳澤 勝弘)

 八重葎やえむぐら 巻之三 高山勇吉物語たかやまゆうきちものがたり

 宝暦11年(1761)著。白隠の法話物語の中でも、きわだって不思議な話である。白隠の印可を受けた小島惣助という者が、共同出資の資金を持ったまま京都で逐電する。これをきっかけに、高山の他宗から、白隠の公案禅に対して囂々たる批判が起こる。そのころ、高山の勇吉という少年が神がかりになり、惣助の消息を託宣し、さらには白隠になりかわって説法したり、白隠の公案禅の正当性を主張する、というものである。

 あまりにも奇妙な話だから白隠の創作と思われようが、必ずしもそうではない。実際に起こった不思議な「事件」に、白隠自身がかなり脚色を加えたものである。

 本書の意図は「悟後の修行」にある。印可証明書という香餌を垂れて、修行の成果を認めるものの、一旦の悟りに安住して増上慢になってはならぬと、更に無限の「悟後の修行」を持続し、永遠に「上求菩提、下化衆生」を実践していくことを、白隠は期待するのである。

〔参考文献〕
『白隠禅師法語全集 第七冊 八重葎 巻之三 策進幼稚物語・高山勇吉物語』
芳澤勝弘 訳注
禅文化研究所、1999年
 
Last Update: 2005/10/30


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