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関連論文:瓢鮎図・再考


【第30回】 詩三〇 (笑巌)法誾


詩三〇

百尺竿頭打筋斗、 (百尺竿頭に筋斗きんとさんと)
團圓下欲抽身。 (団円たる瓢下に身をぬきんでんと欲す)
左邊捺住右邊過、 (左辺に捺住なつじゅうすれば右辺にぐ)
憐彼終朝枉苦辛。 (彼が終朝しゅうちょうむだに苦辛するを憐れむ)


笑巌法誾(生没年不詳)、一山派。建仁寺住。

一、二句、『禅林画賛』では「(鮎は)百尺の竿の先でもんどりをうち、丸い瓢箪の下からすり抜けようとしている」と訳しているが、「抽身」とあるから、これからまさに抜け出そうとしているところである。「抽身」するより先に第一句で「竿の先でもんどりをう」っているのでは整合しない。よって右のように「筋斗を打さんと」と訓ずべきであろう。


【訳】(この鮎は)百尺の竿木上で身を翻さんがために、瓢箪におさえられたところから抜け出そうとする。(男が)左からおさえれば、鮎は右へのがれる。彼は一日中、苦労するが、可愛そうに無駄なことだ。

初出『禅文化研究所紀要 第26号』(禅文化研究所、2002年)

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 Last Update: 2004/07/09