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五山文学研究室

関連論文:『画賛解釈についての疑問』


【第12回】 「定」「一定」
山水図
([123]、368頁、筆者不詳、春荘宗椿賛、正木美術館蔵) 註釈者不明

數尺孤舟待晩風、江村幽屋定漁翁
一竿欲釣前灘月、黄葦林西暫掩篷。
……右那須資全公…………叨塞其請。……


 『禅林画賛』では「定漁翁」に註していう、「〈〉は和習の語。本来なら〈定〉の次に動詞が必要」と、語法をもって説明し批判しているが不必。蘇東坡の詩「定惠院の東に寓居す。雜花滿山、海棠一株有り。土人貴きことを知らず」に、
寸根千里不易致(寸根、千里、致ること易からず)
銜子飛來定鴻鵠たねくわえて飛び來たるはさだんで鴻鵠ならん)
五山詩の例では、『中華若木詩抄』、心田清播の「春城雨氣」に「一夜輕雷起碧霄、花邊細雨定明朝。……」、抄にいわく「一定いちぢやう明朝ハ細雨ガ降ルベキ也。今夜ノ雷ノ樣體やうだいハ大雨デハアルマイ……」とある。上二例の「鴻鵠」「明朝」ともに動詞ではない。
初出『禅文化研究所紀要 第25号』(禅文化研究所、2000年)

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 Last Update: 2003/06/24