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関連論文:瓢鮎図・再考


【第24回】 詩二四 (独鼎)中挙


詩二四

竹竿頭上解翻身、 (竹竿頭上、身をひるがえすことをくす)
俊鶻如何趁得親。俊鶻しゅんこつ如何いかんい得てちかづかん)
笑把葫蘆捺来住、 (笑って葫蘆を把っておさえ来たりとどむ)
天然妙手見斯人。 (天然の妙手、の人を見る)


独鼎中挙(生没年不詳)、夢窓派。天龍寺、南禅寺住。

「竹竿頭上解翻身」は、後出の【第30回】に「百尺竿頭打筋斗」と出るが、これと同じ意味である。

ここの「竹竿」は竿木伎の棒のこと。竿を自在に上り下りする雑伎サーカスであり、超絶の妙技である。これに用いられる竿はかなり太い竿であり、瓢鮎図に描かれる細い竹のようなものでないが、今は竿の縁で引き用いるのである。

「俊鶻如何趁得親」は「鮎魚上竹竿、一日一千里」「鮎魚上竹竿、俊鶻趁不及」と同じ趣旨である。「親」は「近」「接近」の義。いかなるハヤブサでも追いつけまい。


【訳】(登れぬ筈の)鮎が、百尺竿頭のてっぺんでトンボを切る。(竹竿を登る早さには)ハヤブサも追いつけぬ。
(ところが)笑いながら瓢箪でそれをおさえ込む者がいる。この男こそ生まれながらの妙手を持った人。

初出『禅文化研究所紀要 第26号』(禅文化研究所、2002年)

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 Last Update: 2004/04/19