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関連論文:瓢鮎図・再考


【第23回】 詩二三 (謙巌)原冲


詩二三

一隻鮎躍出波、 (一隻の鮎魚、躍って波より出づ)
葫蘆捺著定誵訛。 (葫蘆もて捺著するは定めて誵訛ごうかならん)
通身是滑把不住、 (通身是れ滑かにして把不住はふじゅう
大力量人無奈何。 (大力量の人も奈何いかんともする無けん)


謙巌原冲(?~1421)、聖一派。東福寺、天龍寺住。

誵訛は聱訛とも書く。「いりくんで、むつかしきこと」(65)をいう。「大力量人」は、【第12回】の孟賁、あるいはまた【第28回】でいう「掣鰲手(鰲を掣する手)」のごとき人をいう。


【訳】一匹の鮎が波間に躍りはねる。瓢箪でこれをおさえるのはさだめし大難問。
(鮎は)体中がヌメヌメしていて捉えられぬ。如何なる大力量の人もどうしようもない。

初出『禅文化研究所紀要 第26号』(禅文化研究所、2002年)

【注】
  1. 『諸録俗語解』(芳澤勝弘編、禅文化研究所刊)五四。

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 Last Update: 2004/04/07